ミタマの羽化
私たちは生きている。
鼓動を打ち、呼吸をし、四肢を動かし、五感を研ぎ澄ませ、感情に翻弄されながら、悩み考え感動する。心や精神と肉体は密接に繋がり、限られた寿命を全うする。
中国の道教では古来から、気や精神、心を司るものを魂、形体を司るものを魄と呼び、肉体が滅びる時、そこから離れた魂魄はそれぞれ分離し飛散すると云われている。
これらに準じそう呼ぶのであれば、魂や魄は今、この肉体の中でどのように蠢いているのだろう。
そして私たち人間には、肉体が鼓動や呼吸を止め、寿命を迎える様子でしか「死」を目の当たりにすることはできない。
人間の感覚機能には認識されない世界で、肉体と魂魄の分離が起き、 そこから解き放たれることを「死」という状態とするならば、それはどのような光景なのだろうか。
ろうけつ染め/絞り染め/刺繍
綿
110×85
2019年